ハニラ
2024/粘土、鉄、しゅろ縄
exhibition:グループ展「キャラクター・マトリクス」(出展:青山夢、影山紗和子、九鬼知也、たかくらかずき、谷村メイチンロマーナ、平山匠)/BUG


粘土は自ら語らず、触れた瞬間や、つくろうとした形をそのまま享受してくれる素材だ。

こんな噂を耳に挟んだ。日本にある粘土の産地から、この先10〜20年前後、粘土を採掘することがますます難しくなるらしい。

人間のエゴに寄り添い過ぎた粘土は、そのうちなくなってしまう。

宇宙開発闘争に巻き込まれ、元々人間だった宇宙飛行士ジャミラは、炎に強い怪獣となった。

しかし、故郷は地球にもかかわらず、逆に水が弱点になってしまう。そしてウルトラマンに葬られ、土に還った。

粘土やジャミラはどんな気持ちだったのだろう。

黄赤色の粘土でできたハニラは立ち上がる。ただそこに存在して肯定されるために。

私はハニラにたくさん語りかけたい。水をあげて、そのままの在り方を享受していきたい。

グループ展「キャラクター・マトリクス」
「ウルトラ怪獣」から影響を受けた青山は、縫い目があり、ドロドロとした昭和的なキャラクターのテクスチャと、フラットでツルツルした平成的なキャラクターのテクスチャを織り交ぜた絵画作品を展示します。

影山は、キャラクターの輪郭線がぐにゃぐにゃと動き、変形し続けるアニメーション作品と、メタバースのゲーム作品を出展します。本ゲームは、会場で操作していただけます。

幼少期から国内外のキャラクターフィギュアを蒐集する九鬼は、フィギュアを模した陶芸作品を50体以上出展します。会場内の階段や棚、床などさまざまな場所に設置される作品たちと、思いがけず出会うことになるでしょう。

たかくらは、自身の作風を学習したAIが生成するイメージと、手描きのイメージを組み合わせて、曼荼羅をモチーフとした掛軸を制作します。また掛軸の表面には、密教における儀式的要素とゲーム性を掛け合わせた映像をプロジェクションします。

谷村は、ソフビやカートゥーンをインスピレーション源に、新たなモンスター像を生み出します。発泡ウレタンやグルースティックを素材とし、アクリル絵の具でカラフルに着色された平面作品は、会場でも目を引くことでしょう。

平山は、とある怪獣をモチーフとした全長4メートルの彫刻作品を発表します。土粘土から成る本作は、乾燥によりヒビ・割れが生じてしまうため、会期中はパフォーマーが定期的に水やりを行います。

出展者:青山夢、影山紗和子、九鬼知也、たかくらかずき、谷村メイチンロマーナ、平山匠
舞台美術:中村友美
デザイン:三重野龍
撮影:Yuji Oku、津澤峻